東京都杉並区のとある一軒家にお住まいのお客様からお荷物お引取りの便でした。
お荷物はサッカーのユニフォームとの事です。
たまにサッカーJリーグのクラブチームへお荷物配送のご依頼はありますが、
今回のご依頼の珍しい所は、お届け先住所が某駅前という事でした。
そう、ユニフォームのお届け先はお宅や会社様ではなく、駅前でお待ちしているお客様でした。
事の顛末は、その日フットサルの試合を控えていたお客様が、
自宅にユニフォームを忘れてしまい、取りに帰ってると試合に間に合わないから、
慌ててバイク便を頼まれたとの事でした。
これは何とか間に合わせなければ。
ご自宅にいらっしゃった御依頼主のお母様からユニフォームを受け取ると、
バイクで出発する準備をしながら、お客様と待ち合わせをしている駅までの経路を頭の中でイメージしていました。
実は、駅前というのは車両進入禁止だったり
細い道、一方通行が多かったり難易度の高い配送先だったりします。
時間を気にしながらも、こういう時こそ慌ててはいけないと、
「事故・違反をしてしまったら、それこそお客様の大切なお荷物を確実にお届けする事が出来なくなってしまう」
と、自分に言い聞かせながら走りました。
バイク便にとって、時間通りはもちろんですが、
お客様のお荷物を安全且つ確実にお届けする事が何よりも大事なのです。
お客様からご指定のあった時間に何とか間に合いました。
慌てず、裏道や、その時間帯に最も混みあっていない経路を今までの経験から選択した事が結果に繋がりました。
ところが、到着した駅前にそれらしきお客様がいらっしゃらない。
辺りを隈なく見渡しましたがやはり見当たりません。
伺っていたお客様の携帯電話に連絡しても、繋がりません。
駅前は人でごった返していて、声も届きずらい状況でした。
何か目立つ場所はないかと辺りをキョロキョロしていたその時!
こちらに手を振る一人の男性の方がいるではありませんか!
声は聞こえないけど、手にしているサッカーブランドのバッグからして
お客様で間違いないと思い私は全力で走りました。
「ソクハイさん!こっち、こっち。」
やはりご依頼主のお客様でした。
私はホッとしたのもつかの間、すばやくお荷物のユニフォームをお渡しして、伝票にサインを頂きました。
するとお客様は
「助かりました。ありがとうございます。これで試合に間に合います。
ソクハイさんが急いで持って来てくれたんだから絶対勝ちますよ」
と笑顔でフットサル場まで走って行かれました。
私達は日頃から笑顔での接客を心がけて仕事に取り組んでいます。
しかし、私達以上の笑顔をお客様からいただく事も沢山あり、
それはバイク便という仕事をする上でやりがいでもあり、
とても嬉しい事であると共に、これまで以上に笑顔での接客に心がけていこうと思った次第です。
:::::::::::::::::