少し前、まだ残暑が厳しかった日、
築地までの配達が終了したときのことです。
近くにコーヒーショップがあったので、しばしの休息をと店に入ろうとした瞬間、
「ソクハイさ~ん!」
と、若干慌て気味の女性の声が聞こえました。
「え!」
と思い、振りかえると
「まだ店にはいちゃだめ!」
と言わんばかりに手を振って、サングラスの良く似合う洒落た夏服のマダムが近づいてきました。
その方は、なにやら鞄から財布を出してゴソゴソ探していました。
「あった!はい。これあげる」
と渡されたのは、そのお店の割引券でした。
「え!何故頂けるのですか?」
と聞くと
「ソクハイさんはいつも忙しくて大変ね! 私、何枚も持っていてどうせ使わないの、お仕事、頑張ってね!」
「よろしいんですか?、ありがとうございます。」
と言うと
「これからも暑いから頑張って!」
と励ましの言葉を残して、その場から去っていきました。
照れくさいような、でもうれしいような気分でおいしくアイスコーヒーを頂きました。
休息のあとは、いつも以上に頑張って配送いたしました。
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