私は普段、医療施設へ出入する検体輸送を主に行っているバイク便ライダーです。
検体輸送が終了した後、通常のクイック即配便を走った時の出来事です。
埼玉県のとある倉庫から栃木県の病院へ荷物を運ぶ、という内容でした。
関東近県の病院は毎日のように伺っていますが、その栃木の病院は初めて伺う病院でした。
集荷の際に大変お急ぎであるとお客様はおっしゃられていました。
病院届けという事もあって、手術に必要な重要なものなのだろうか、道は渋滞しているが予定の時間通り届けられるかどうかと焦る気持ちを抑えながらバイクを運転しました。
なんとか予定の時間に病院に到着しました。
とても大きな病院で、遠くから見るとゴルフ場の入口の様なたいそうな作り。
敷地内に入って建物を間近にみると、それは病院というよりお城の様な綺麗な建物で来る場所を間違えたのかと思うほどでした。
到着したら『荷物をお渡しする方へ電話連絡をして受け渡しの方法を確認する』事となっていました。
正面の車寄せ付近に到着している事をお伝えすると、建物の裏側に来て欲しいとの事でした。
裏手に回るとあまり病院には似つかわしくない大型のトラックやバンが複数停まっていました。お客様にお電話するとすぐに出てきていただけました。そして、使用する場所まで運んで欲しいという事で病院内に入りました。
患者さんがいらっしゃる待合室を通過して、スタッフ専用のエレベーターを乗りました。
エレベーターの行き先は最上階でした。
???。どうして最上階なのだろうと、疑問符が3つ位頭の上につきました。
エレベーターが開いて見えた光景は、
私が普段出入りさせて頂いている病院とは全く違う光景でした。
沢山のケーブルやカメラやライト、クレーン等がいたるところに置いてありました。
そこは撮影の現場だったのです。
数十人のスタッフさんがおられ、奥の方では炊き出しをされ皆さん食事しているところでした。荷物はこの辺へと現場の方へ促され、配送は完了しました。
撮影にどうしても必要なもので、バイク便を利用されたという事でした。
着払いだったので料金を頂き領収書をお渡ししました。
ご注文の際に伺った情報がお急ぎの為か、場所とお名前位だったようで
これでは領収書にならないので、とお客様が正式な会社名と作品名を記入されました。
その伝票をあらためて確認した時、あの日本アカデミー賞を総ナメにした映画監督の現場だったんだと再認識して大変驚きました。
バイク便はその緊急配送という特性上、思いもかけない現場を垣間見ることがあります。そこが他では体験できないバイク便ならではの楽しさでもあったりします。
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