数年前の真冬の時期でした。
お荷物は映画撮影のフイルム。
都内から出発し、お届け先は山中湖付近のカーリング場の撮影現場でした。
東名高速に入った辺りで、陽が落ちました。
御殿場ICで高速を降りて、しばらく走行していると
電光掲示板が、「ただいまの気温 3℃」
こちらは前日雪だったようで、昼の間に溶けた雪で路面は全面ぐしゃぐしゃ。
山中湖が近づいてきて峠道になってきました。
大きなカーブを曲がる度に、どんどん標高が上がります。
電光掲示板は、「ただいまの気温 0℃」
路面はぐしゃぐしゃから、雪へ。
周りの自動車は、自動車はスタッドレスタイヤ。こちらはバイクで普通のタイヤ。。。。
もう、どんなに追い抜かれても慎重に安全運転しました。
さらに峠を上がり、そして下りて、やっと山中湖。
道路は雪一面で、ほぼ圧雪路となっていました。
電光掲示板は、「ただいまの気温 -3℃」
カーリング場へは、山中湖からさらに山の中に入って行きます。
交通量も減る為、さらに路面は雪、凍結がひどくなっていきました。
森の中で案内板も目印になる物もありません。
偶然に人がいる製材所を見つけたので道を教えていただきました。
そんなこんなで、どうにかカーリング場へ到着した頃は
身体も顔も冷えきっていて、口がまわらず上手く喋れない状態でした。
「バイクで来たの?凍って無かった?」
「こ と ば に な ら な い ぐらい こおって ました。」
「良く転ばなかったね。。。」
撮影フィルムをお渡しする事ができ、やっとほっとする事ができました。
会話している間も外気との温度差で眼鏡は曇り、
口は上手く動かず、おかしな状態を見た別のスタッフさんが
「こっちへおいで」
と奥に通して下さいました。
そこには大きな鍋。
スタッフさんに用意された蟹鍋の炊き出し中でした。
「食べて行きな」
と取り分けて下さいました。
冷え切った身体に最高のご褒美でした。
お客様
「これからどうするの?」
私
「えっ?!かえりますよ」
お客様
「えっ?!バイクで?凍ってるのに?」
ゆっくり帰ります。鍋 美味しかったです。元気がでました。ごちそう様でしたと
お礼を言ってカーリング場を後にしました。
帰り道を調べると、山中湖周辺は雪に凍結。御殿場までの峠は危険と判断し
別のルートで神奈川県に戻ってきました。
寒い日、雪の日になると
蟹鍋が食べたい けど 凍りついた路面はもうなるべく走りたくないなぁと
あの時の道路 蟹鍋の美味しかった事を思い出します。
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