、、、の名は


それは某テレビ局様から個人宅様宛への配送する仕事でした。

書類を受け取り、お届け先のお宅に到着し、
門扉を確認すると「○○書道教室」と大きく書かれた看板がありました。

書道の先生にお届けなのか。。。等と考えながらチャイムを鳴らしました。

藍色の着物、仙人のような頭髪、口髭、共に白髪混じりの
初老の男性が手に筆を持ったまま出てこられました。

こちらにサインをとお願いしたところ、手に持っていた筆で受領のサインをして頂けました。

しかし、達筆過ぎて何と書かれたのかわかりませんでした。

バイク便はどなたにお届けしたかが重要です。
代理の方に届いてしまうとせっかくの急いで届けた荷物がそこに止まってしまう場合もあります。

そこでソクハイでは、配達完了後に電話での終了報告が無料でついています。

その時に『○○様にお届けしました』と報告するのですが、
伝票の頂いたサインを見て、あ、、読めないという事が良くあります。

その為、サインを頂いた後は、普段から念の為、読み方を聞くようにしています。

しかし、筆をご用意され、作品を書上げて頂いたようなその場の空気は
とても読み方を質問出来る雰囲気ではありませんでした。

結局読み方を伺うことなく、その場を失礼しました。

意外な展開になり焦ってしまい気がつかなかったのですが
バイクに戻り冷静になってから気付きました、、、、

その伝票は旧式のソクハイ伝票でサイン欄が複写式になっているので
ボールペンでサインしてもらわないとなのでした。

恐る恐る肝心の2枚目を見ると、、、、もちろん複写されておりませんでした。

急いで戻り、あらためてボールペンでご記入頂くようお願いしたところ .

「えっ!? あっ!? えぇ はい。」 と、凛とした空気は崩れ
急におどおどした感じでペンを持たれました。

ペン字のサインは普通に読める文字で やはり違うんだなぁ。。。。
などと思いながら次の仕事に向かいました。